Winny作者逮捕

Winnyの作者が逮捕されてしまいました.大学助手だそうで,やっぱりあの学術的に高度なテクが盛り込まれた通信方式は学識者によるものでしたか.

でも,やっぱり作者が逮捕されるというのはおかしい気が.Winnyのできることはファイル交換(と掲示板)であって,違法なファイルを流すかどうかはユーザの意志.レイヤが違う訳です.電話は麻薬取引やオレオレ詐欺に使われるからNTTの社長を逮捕ですか? それは違う訳で...

友達と話をした中で,次の3点が逮捕されるべきもっともな理由として取り上げられたのではということに.

  1. 違法なファイルがやり取りされていると知りながら,それを対処(フィルタ)しないのが悪い(バージョンアップはしているのに).
  2. 違法ファイルの共有以外の用途が思いつかず,そもそも違法ファイルのやり取りのために作られたソフトである.
  3. 匿名性が高すぎるのが悪い.

まず1つ目.上位レイヤを関知しないのは「通信の秘密」に基づく考えで,これは通信界における憲法並に重要なことだと思うのですが*1.それに,どのようにフィルタしても,イタチごっこスタートですし.2つ目,そんなこたーない.常にシードを蒔くのはクリエイティブエンジニアの使命であり,上位レイヤを想定しない(規定しない)仕組みを提供することは価値があることだと思います.@niftyのアマチュア音楽・映像配信サイトなんてのもあるくらいですし,必ずしも違法ファイルの共有とは言えません.3つ目,これこそ新世代コミュニケーションの形の一つだと思います.これまでの発信元が付きまとうコミュニケーションに加え,発信元が付きまとわらないコミュニケーション.情報の真偽/真価を発信元で(安直に)決めるのでなく,受け手自身が判断する時代にシフトする前兆になればと思いますが...

アメリカでは個人の大量提訴が一般的らしいですが,今回のように(ISPでもWinny解説本作成者でも違法ファイル配布者でもなく)ソフト作成者が捕まった背景には,捜査情報がWinnyで漏れたという私念があるのでは?と勘ぐってしまいますね.

*1:まぁ,最近は,これも崩れてきてるみたいですが(特にキャリア系以外において).