嶽本野ばら『エミリー』読了
- 作者: 嶽本野ばら
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/05/20
- メディア: 文庫
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あらすじだけを考えるとどういったこともない話ばかりなのですが,服や絵画などの芸術への造形の深さや,それらへの作者自身の深い愛が感じられ,とても高尚な物語に昇華させられています.物語に出てくる実在のブランド名や地名は,どこか一般の人からは遠い存在であったりもしますが,それでいても物語にリアリティーを持たせ,どこか不自然な結末を浪漫や美学へと導き,優雅な気持ちで読み終えられる,そんな感じがしました.
『エミリー』の主人公はとても強いです.自分の居場所であるエミキュ(Emily Temple cute)の服やラフォーレ前にも頼らず,耐えていこうとするポリシー.逃げ場所ばかり探してる自分の見習うべきところです.