親と子と山崎マキコ


犯人としては、やはりあの事件は彼自身の親に対するあてつけだと思うのですよ。

山崎マキコ声だけが耳に残るを思い出しました.声だけが耳に残る

同著にも書かれてますが,「自分の親への教育批判」って人類に残された最後のタブーなんじゃないかなぁと思います.しかし,現状として,親の教育は必ずしも正しくない.どんな教官になるにも資格が必要なように,せめて,人の親になるには講習くらいは必要じゃないかなぁと思ったり.昔は祖父・祖母と同じ家に住んでいたり,近所のおせっかいなおばさんがいたりして,親が育児や教育について勉強する場があったから良かったものの,今は手探りなんですよね.育児書なんかではカバレッジが少なすぎるのでは? でもまぁ,教育の才能の無い親は講習なんか受けても仕方ないんでしょうけど.

孤児院とかで養子・養女を買うのが一般的な国では,そういう問題も少ないのかな? というのも,問題のある親から産まれた子は孤児院に送られ,保育士に育てられる・・・と.一長一短かな.

ところでこの本,Amazonの評価が低い(2.5)のです.山崎マキコ女史も「この本の執筆には作家運命を賭けた」と言っているように,ちょっと異色の作品.この作品はマリモさよなら、スナフキンに続く代表作になる訳だけど,前の2冊に比べて切り口がエグい.加えて,推敲も足らない印象を受ける.なので,こういう評価になってるんだとは思うんだけど,僕が思うに,「声だけが〜」がこれまでの作品の集大成であり,今まで曖昧にやりすごしてきた「最も言いたいこと」なんじゃないかなぁと.

僕としては,これが一番読みたかった.